皆さんこんにちは。週7でフリーランスとして働くりゅうと申します。
僕はデータアナリストという職種で複数社と契約させて頂き、日々暮らしております。
今回はこの「データアナリスト」とはどんなものなのかを約1年この職種を続けている僕が解説していきます。
データアナリストとは?
データアナリストは、data(データ)とanalyst(分析する人)が組み合わさった主にデータ分析を生業とする職業です。
「分析」という言葉がその便利さゆえにあらゆる場所で使われ、本来はどのような意味なのか曖昧になっている人も多いと思います。
多くの書籍で分析とは、「物事の実態・本質を正しく理解するための作業」と定義されています。
これだけだとよく分からないので、僕なりに以下の観点からデータアナリストについてもう少し深ぼっていきます。
- データアナリストの役割
- データアナリストに向いている人
データアナリストの役割
データアナリストの役割はズバリ、「経営の意思決定を支えること」です。
経営者が「こんな施策はどうだろうか」「割引セールをしたいが適正な割引額が分からない」と迷っていたとします。
そんな時に、データから出力された数値をもとに経営者に提案をするのが役目です。
- 「1年前の施策からシミュレーションをした結果、実現可能性は◯%です」
- 来月の売上予測は〇〇万円なので〇〇万円なら予算を踏み込めます
ただし、ここ念を押して主張したいのが「意思決定を支える」のであって、「決定する」ではないという点です。
確かに数値で出た結果を元に意思決定をするというのは合理的ではあります。
しかし、「数値がこうだから経営もこうする」という思考のみになってしまうのはとても危険な状態と考えています。
理由は2つあり、競合他社との差別化が出来なくなるという点と、冷酷な企業を生み出しかねないという点です。
1点目の競合他社との差別化ですが、どの企業も数値しか見ない状態で経営をしていると必然的に似通ったサービス内容や価格設定になってしまいます。
これでは顧客が自社のサービスを使う必要が無くなってしまい、どれだけ街中やネットサーフィン中に広告を見かけるかのみの勝負に持ち込まれてしまいます。
こうなると広告費にかけるお金を持っている会社の勝利、という小さい企業は勝てない試合になってしまうのです。
経営者が目指しているゴールと、数値が示すゴールをいいバランスで見つめ、その上で議論を展開できるような分析が「良い分析」だと僕は思います。
2点目の冷酷な企業を生み出しかねないという点です。
データ分析の弱みの1つに、顧客の声が入りづらいという点があります。
顧客の声を無視し、売上や利益が高くなることだけを追い続けた企業は冷酷と言わざるを得ない企業へと変わっていきます。
参考の例
もしも医者が何よりも治療効率を優先すると、、
- 早く完治するかもしれないが、きつい手術や治療が多く患者の負担が増えてしまう可能性がある
もちろん商売なので、売上や利益を出さなければ会社を続けることも投資家とうまくやっていくことも出来ません。
綺麗事だけでは会社は回らないのです。しかし、数値ではなく、経営者が抱くロマンを尊重したいという気持ちで分析をするべきです。
そのため、なんでも数値で決めるのではなく成功確率や売上等の予測をすることで経営者の背中を押してあげるというだけに止まるのが良いのです。
ポイント
会社ではよくある「熱いロマン VS 冷たい算盤」
アナリストは冷たい算盤サイドになりがちなため、より注意が必要です!
データアナリストに向いている人
ここまででデータアナリストの役割について語ってきましたが、それを踏まえてどのような人物がこの職業に向いていると思うかを解説します。
向いている人
- パズルやクイズが好きな人
- 漫画や絵本が好きな人
- よく考え事をする人
パズルやクイズが好きな人
どういうことかと言いますと「多面的に考えることができる人/好きな人」です。
例えば、下記のようなクイズがあったとします。
クイズ!
『日ム本』これはなんと読むでしょう?
クイズが好きな人は文字を見た瞬間から「日本の間にカタカナのムが入っている」「日ハムに見える」「ムはカタカナの”む”なのか?」などとまずは状況を整理します。
そして日本の言い方を変えてみたり、文字ではなく形で捉えてみたりなど、僅かな時間の間にものすごい数の思考をするのです。
その結果「日本 = ジャパン」と「ジャパンの間にムがあるから『ジャムパン』だ!」と答えに辿り着くことができるのです。
明確な答えが用意されているクイズよりもデータ分析では多くの思考を必要とします。そのため、こういった思考の流れに対して嫌悪感を持たない人が向いていると言えるでしょう。
漫画や絵本が好きな人
「人に見せる/伝えるのが上手い人」もデータアナリストには向いています。
いくら良い分析と考察があっても、見せたグラフがめちゃくちゃだったり、表が何を表しているのか伝わらなければ台無しです。
「相手にとって伝わりやすい絵や表現ってなんだろう」、という問いに対して、多くの絵本や漫画に触れてきた人の方がパッとイメージがわくと思います。
分析結果を発表する際のスライドは圧倒的に文字よりもグラフや記号を使うことが多いため、小説や新書よりも絵本や漫画の方がよりヒントを与えてくれると個人的には思います。
よく考え事をする人
ストレートですが、考えるのが好きな人がやはり向いていると思います。
「なぜうるう年があるんだろう」「なぜ紳士服のボタンは右側で婦人服のボタンは左側についているのだろう」など考え事が多い人は様々なことに対して疑問を抱きます。
誰に頼まれたでもなく考え事をし、それについて自分なりに考察してみたり調べたりすることが苦痛ではない人が向いているのではないでしょうか。
この章のまとめ
データアナリストに向いている人
- パズルやクイズが好きな多面的思考が出来る人
- 漫画や絵本が好きで人に伝えるのが上手い人
- よく考え事をする人
データアナリストとデータサイエンティスト
実はデータアナリストには兄弟のような職種が存在し、それがデータサイエンティストです。
特にデータサイエンティストとの明確な線引きは存在しないらしく、傾向的にはデータアナリストが現状のデータの取得や整理・可視化、データサイエンティストが予測モデルの作成などを行うようです。
どちらもまだ若い職業で、人事部の募集を見るとサイエンティストの案内なのに内容はアナリストになっていたりなどということはよくあります。
なのでこの記事ではデータアナリストとして約1年働いた僕が、自分の業務とデータサイエンティストの方の業務を比較して下記のように線引きをします。
ポイント
データアナリスト
過去から現在までのデータを取得・整理・可視化し説明する
データサイエンティスト
将来の予測モデルを従来の統計学的手法や機械学習を用いて作成
データアナリストに求められる技術
データアナリストが必要最低限として持っておくべき技術は以下の3つです。
- SQL(BigQueryとMysql)
- Excel / Googleスプレッドシート
- 基礎的な統計学の知識
SQLとは、プログラミング言語のようなもので、会社が所持しているデータベース(データが入っている表)から指定した条件にヒットするデータだけを引っ張ってくることができます。
SQLで取得したデータをスプレッドシートやExcelで加工し、わかりやすい形に変えてから発表します。
この主張を強めるためにはどのようなデータが必要か、などを考える上でベースとなるのが基礎的な統計学の知識のため、ここも合わせて習得が必要です。
優秀なデータアナリストとはどんな人か
個人的に「優秀なデータアナリスト」とはどのような人なのだろうと考えたときに下記を満たす人だと考えています。
- MN(マジックナンバー)をすぐに見つけられる人
- 必要のない分析をスパッと切れる人
事業分析におけるMN(マジックナンバー)とは、売上を上げるために重要な役割を持っている指標のことです。
ビニール傘が売れるためのMNはゲリラ豪雨の発生率かもしれないし、飲食店のMNはインスタグラムのフォロワー数かもしれない。
あらゆる分析によって「〇〇の数字が上がれば売上は上がります!」とすぐに見つけられる人は優秀なデータアナリストだと言えるでしょう。
もう一つは必要のない分析を「その分析は必要ありません。意味がありません」と断れる人だと思います。
データアナリストは依頼された分析を行うことも多々ありますが、「それ分析して意味あるの?」と思うような依頼を受けることもあります。
そういう時に、悪い気の遣い方をして無駄な分析をするのではなく、理由をちゃんと説明した上で「これは必要ありません」とはっきりと伝えるのが良いでしょう。
その方が自分にとっても会社にとっても良いからです。
データアナリストの作業の流れ
データアナリストの作業の流れは「目的、仮説、手段、伝えること」の4つに大きく分けられます。
目的を整理する
「〇〇の数字がここ数年で変化しているか見たい」「売上と〇〇の相関を見てみたい」など分析には明確な目標があります。
それらに対して、どのようなアプローチをしていくかを考えていくのがデータアナリストの仕事ですが、大前提としてこの「目的」が曖昧だと分析そのものが危うくなります。
分析をしていくうちに「なぜこの分析をしていたのか」が分からなくなることは割とあるあるではありますが、まずは落ち着いて目的を整理した上で、どのような分析をするべきかを考えることに時間を使いましょう。
仮説を立てる
「目的」がはっきりしたら、それらに対して「仮説」を立てていきます。
仮説の立て方やポイントについて語り出したらとても長くなってしまうため、今回は下記の2点だけ紹介させていただきます。
- 一つの「目的」に対して複数の「仮説」を立てる
- トライアンドエラーを限られた時間の中で行う
「仮説」とは分析を始める前に立てる「〇〇ってこうなのではないか」「実は〇〇とXXが関係しているのではないか」という予測のようなものです。
そのため、1つに絞る必要はなく、複数の仮説を用意してひたすらそれが正しいかどうかを確かめていくのが良いです。
ただし、仕事には必ず締め切りがあり、それまでにある程度の結果を出さなくてはならないため、ある程度のあたりをつけて限られた時間の中で確度の高そうな仮説を検証するようにしましょう。
手段
仮説を検証するための手段はいくつもあり、そのうちの1つがSQLです。
仮説を設計した段階で、「〇〇とXXについてのデータをSQLで取得し、スプレッドシートの関数で調べてみよう」とある程度は手段も決定されていることが多いです。
ポイントは、1つの手段にとらわれず、様々なソフトやサイトを使うことを常に検討しながら仕事をすると行き詰まりにくくなるという点です。
分析結果をまとめて伝える
最後にまとめた結果を伝える必要がありますが、ここで難しいのが「分析する頭」と「伝える頭」を切り替えなくてはいけないということです。
そして、結論めいたことを一方的に強調しすぎてしまうとそこから生まれる議論の幅を狭めてしまうという点も気をつけてください。
事実をまとめ、それに対する自分の考察も端的に伝え、そこから依頼主や他のメンバーと一緒に議論をしていくことで満足のいく仕事ができるでしょう。
まとめ
データアナリスト経歴1年程度の僕が色々と語らせていただきました。最後まで見ていただき本当にありがとうございます。
ポイントや注意点を多く挿入させていただきましたが、「言うは易し行うは難し」ということで実際に僕もここで書いたようなつまづきを何回も経験しております。
まだまだ未熟な僕ですが、データサイエンスの勉強含め、今後もこの仕事をし続けたいと思えるくらいデータアナリストの仕事が大好きです。
もし、これらを志す皆さんの何かの助けになればこの上ない幸せです。
繰り返しにはなりますが、最後まで見ていただき本当にありがとうございます。